2007年06月20日

ネットへの規制。必要な部分もあるでしょうけど、恣意的な規制にされる可能性もあるね。

総務省研究会中間報告、ネット・放送幅広く規制、新法で競争も促す。
                            2007/06/20, 日本経済新聞 朝刊
 総務省の「通信・放送の総合的な法体系に関する研究会」(座長=一橋大学の堀部政男名誉教授)が十九日、中間報告を公表した。
高速インターネットやネット経由のテレビ視聴の普及で垣根が低くなる通信と放送の縦割りの事業規制を撤廃し競争を促す「情報通信法(仮称)」の制定を提言した。
ネットや放送で情報を伝えるメディアを広範囲に規制対象にする案も盛り込んだ。
(関連記事3面に)

 総務省は十二月をめどに最終報告をまとめ、年明けから新法制定に向けた作業に入る。NTTグループは二〇一〇年に全国に光ファイバー網を敷設する予定。一一年には全国で地上デジタル放送が完全実施になる。これに合わせて総務省は一〇年の通常国会に新法案を提出、一一年に施行したい考えだ。
 通信・放送の関連法は現在九つあり、通信・放送というサービスの分類のほか、有線・無線で区別して細かく規制している。ところが携帯電話で地上デジタル放送を視聴できるなど通信・放送に分けて規制する意義は薄れつつある。通信・放送のそれぞれの事業規制を撤廃し、新規参入も促し競争を促進する。
 中間報告では、規制の法体系をテレビ番組などの動画像である「コンテンツ」、通信網や放送設備を示す「伝送インフラ」、課金や顧客認証のシステムである「プラットフォーム」の三つに再編し「情報通信法」を制定するように提言した。
 動画像を伝えるメディアについては、社会的影響力に応じて「特別メディア」と「一般メディア」の二つに分けて規制する案を示した。視聴者が多く社会的影響力が大きいとみられる民放キー局や地方局を「特別メディア」に分類。地域住民に不可欠な情報提供や災害時の情報発信を義務づける。地域の特性など多様な言論を保つために特定の企業が複数の放送局を支配するのを防ぐマスメディア集中排除の原則は維持する。
 地上波に比べて視聴者の少ないCSは「一般メディア」と位置づけ、より緩やかな規制を検討する。BSやケーブルテレビ(CATV)は今後扱いを議論する。特別メディア、一般メディアとは別に、ネット新聞・雑誌や個人のブログ(日記風簡易ホームページ)、2ちゃんねるなどネット掲示板は「公然通信」とし、守るべき共通ルールを定めて規制する方針だ。


情報通信新法、ネット・放送、垣根低く規制は強化、メディア発展阻害も。
                          2007/06/20, 日本経済新聞 朝刊
 総務省は通信と放送が融合する時代の制度設計に乗り出した。事業ごとの縦割りの法体系を見直すことで、新規参入による競争促進や新サービスの登場が期待できる。一方で情報の内容への規制も融合させ、放送と比べて自由だったインターネットの情報にも規制をかけようとしている。(1面参照)
 ブロードバンド(高速大容量)通信の普及で、ネットでもテレビ番組などの映像が流れるようになった。通信と放送に分けた法体系は時代遅れになりつつある。
 「情報通信法」が制定されれば、通信・放送の相互参入が容易になる。放送局が通信網を整備して全国に番組をネット配信したり、通信事業者が自らの通信網を使って独自番組を流すことも可能になる見通しだ。携帯電話事業者も自ら放送局を構えて、自社の携帯向けに独自番組を配信するなどこれまでにないサービスの登場が予想される。
 欧米のように通信・放送の業態を越えた事業者の合従連衡が広がる可能性もある。テレビ各局は番組のネット配信サービスに取り組んでおり、「通信会社やネット向け情報提供会社との提携も増えていくだろう」(民放幹部)とみている。
 総務省は事業の垣根を外すのに合わせて情報の内容への規制も見直す考えだ。これまで最も強い規制を受けてきたのは放送局。国の希少な資源である電波を使って事業展開しているという理由から「公共の福祉」や「不偏不党」に配慮するように放送法で縛ってきた。
 ところがテレビ局がネットで番組を流しても現行法制では内容には何の規制も受けないことになる。このため総務省はテレビ、ネットに分けた規制体系を見直す必要があると見ている。研究会の中間報告は社会的影響力が大きい順に地上波中心の「特別メディア」とCSなどの「一般メディア」、そのほかの「公然通信」の三つに分類して規制をかける方針を示した。
 ただネットは自由な環境で成長してきただけに、規制が発展を阻害する恐れもある。有限の電波を利用する放送と性格が違うネットへの規制については総務省も手探り段階にある。
 中間報告によると、地上波テレビ局には放送内容への現行規制が続く一方で、多様な言論を保障するマスメディアの集中排除原則も維持される。この内容なら各社は大きな影響はないと判断しているもようだ。
 ネット新聞・雑誌などのメディア、個人のブログ、ホームページなどネット上に出回る情報は「公然通信」として分類された。これまで規制がほとんどなかったが、今後は総務省の定める共通ルールに従って網をかけられる。名誉棄損などの人権ルールだけでなく、情報の内容によって受信制限をかけるような規制が考えられる。規制をかけない例外はメールや電話といった私信程度だ。
 問題はメディアなどを分類する判断基準があいまいなことだ。総務省は視聴者数などで影響力を判断する方針だが、どのように測るのか。人気ホームページが「特別メディア」に“格上げ”されると規制が強化される恐れがある。規制の内容も今後の検討課題。多様なメディアの活動が妨げられれば、言論・報道の自由が脅かされかねないとの危惧もある。

専門家に聞く、不透明な手続き、番組介入を懸念。

 服部孝章・立教大教授(メディア法)
 今までの法律で対応できなくなった理由を明確に説明せずに、メディアのグループ分けと規制ありきで準備が進んでおり、手続きが不透明な印象だ。すべてのメディアをそのコンテンツの特徴ではなく、形態だけを根拠にいずれかのグループに押し込み、一律に表現内容への規制をかければ、健全なジャーナリズムが機能しなくなる危険性がある。

 音好宏・上智大教授(メディア論)
 通信で流通している有害情報を規制することを理由に、これまで放送で提供されていた番組に行政が口出ししやすくなる懸念がある。役割に基づいて三つに分けた法体系の中でのコンテンツ規制で、表現の自由をどのように担保するのか十分な議論が必要だ。また社会的影響力の大きいメディアを特別メディアとして強い規制をかけようとしているが、その影響力をどのように評価するのか不明確だ。
posted by 原始人 at 18:31| Comment(0) | TrackBack(0) | Report | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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